昨年リリースされたGinger does’em allのセカンド・アルバム「Sweet brown addicted」。タワー・レコードのフリー・ペーパー「Bounce」誌などに紹介され好評を得ている。当初、アルバムに封入予定だった未公開インタビューをこちらに掲載します。あのアルバムはどのように作られたのか?どんな思いが込められているのか?悪い冗談なのか?どうぞ、お楽しみください。
Ginger does’em all・Sweet brown addicted Intarview
Intarview:EC(PHUNK INC./DELIC RECORDS)
#遂にリリースされたセカンド・アルバムです。いつ頃から作り始めたんですか?
G)今回収録分でもっとも古いものは「middy-biddy」なんだけど、前々作の”nodes reversed on”のあとくらいから作り始めてるから、そこをスタートとするなら2005年の秋ごろからということになりますね。
で、ある程度曲のストックがたまった段階(2006年末くらい)でアルバムとしてのまとめに入ったんですが、一旦”Get It”で吐き出しちゃったので、2007年の夏くらいからまた作りためていった感じです。収録曲の8割くらいはそこから後にドバっと作ったので、実質的には制作期間半年ともいえます。
#”nodes reversed on”に比べてトゲがないような印象を受けました。何か心境の変化がありました?
G)実は私、父親になりまして。ウソです。
今回ラフなものを含めたら30曲くらい候補曲を作ったんですが、中にはガツガツした激しい曲も少なくなかったんですよ。でも、どれもあまり出来がよくなかった。で、完成度が高い曲を集めたら自然とこんな流れに落ち着いたってところですかね。まあ、今回は実験性よりも完成度を重視したので、その意味では心境の変化があったといえるかも。
#ファーストは勢いで作れちゃうと思うのですが、セカンドって結構悩むんじゃないですか?
G)フル・アルバムという形では確かに2枚目ですが、前レーベルのミニアルバムから数えたら実質5枚目ですからね。もう毎回悩んでますよ。一番悩まなかったのは前作の”Get It”かもしれません。あれはとりあえず溜まったものをリリースするってのが最大の目的でしたから。
#今回アルバムはチョコみたいですね(笑)テーマみたいなものがあれば教えて下さい。
はっきりとしたテーマとしてチョコレートを前面に打ち出してるわけではないんですが、タイトルやジャケなどではかなり意識してます。言ってみればチョコはデザイン・テーマかな。
何か僕のパーソナリティを端的に表現できる手段はないものかと考えていて、それはやはりブラックでありスウィーツだろうと。特に根拠があるわけじゃないんですが、ブラック・ミュージックともっとも相性がいい甘いものってチョコかハチミツだと思ったんですよね。で、デザイナーの伊藤さんが提案してくれたジャケのイメージがちょうどチョコのパッケージっぽいモチーフだったので、こりゃチョコで決まりだなってことで。
#つまりジンジャー君が影響を受けた黒人音楽を「チョコ」という形で隠喩的に表してたりもするわけだ。
G)そうですね。そう解釈してもらって構いません。まあ後付けではあるんですけどね。
#今回のアルバムを作る上で、実際にインスパイアされたアーティストなり楽曲を教えて下さい。
G)根底には相変わらず70年代のジャズ・ファンクやソウル、ディスコなどがありますが、特定の誰それというのは難しいですね。カットアップの手法という意味ではMF DOOMやMADLIB、Prefuse73などからの影響は否定できません。ただ、すげえなあと思ってよく聞いていたのはちょうど2005年くらいの話で、そこから自分なりに消化して吐き出すまでに2年半かかりました。
#相変わらずレコードは買っていますか?
G)一時期、ソウルやジャズ・ファンクにマンネリを感じて全然買わなくなっていたんだけど、最近歌謡曲が好きになって、そっちはまた買い漁るようになってます。手付かずだったジャンルを掘るのは楽しいですね。買うのは主に7インチで基本は1枚100円以下。LPでも100円から500円。1000円以上の盤は、そこに存在していないものとして見向きもしません。それに慣れちゃってるもんだから普通のCDの値段を見ると一瞬ものすごいインフレが起こってるんじゃないかと(笑)
#歌謡曲はともかく(笑)まずレコードを聴いてから自分の曲を作る訳ですか?
G)そうですね。僕の場合、サンプリングありきで作っているので、まずビビっときた曲を見つけたら、それをサンプリングして、そこから解体して再構築して展開を作って、他のサンプルを足したり、楽器を足したりして作業していきます。
逆に、ある程度作りこんだ曲にあとから合うサンプルを探すのは相当キツイ作業なんです。まずキーとテンポがある程度合ってるネタを探さなきゃいけないし、ようやく見つけてもそこに使えるフレーズがあるとも限らない。それでも奇跡的に1発目でズボっとはまることもたまにあるんですが、そういうのは勘なんでしょうね。
#前作から今作までの間、ライヴというかDJをする機会が多くなりましたね。このアルバムに影響はありますか?
G)そうそう、大のライブ嫌いだったくせに去年から急に開眼しちゃいまして。ライブならではの即興性と、いろんな音楽を一つにして吐き出したいという欲求の両方を叶えられる方法を長年模索してきて、やっと見つけたんです。まあ、方法といってもワンフレーズサンプルを次々に早がけするというだけのことなんですが。ただ、今回のアルバムは1曲をしっかり作りこんで聞かせる目的があるので、方向性は全く異なりますね。次作以降では何らかライブの影響も出てくるかもしれません。
#現場では、ライヴだけじゃなく自作のマカロンを配ってましたね。そこらへんがファンキー・パティシエの由来な訳ですが、そっちの制作はどうですか?
G)それが最近めっきりやらなくなってきてまして。そろそろ再開したいと思ってますが、どうも気が乗らんのですよ。どっちかというと、最近は自分で作るよりいろんなケーキ屋を巡って買って食うことのほうが多いです。ある意味、研究の時期なんだと思ってます。
#レパートリーを教えて下さい。
G)お菓子のですか?レシピさえあれば大体のものは作れると思いますけど、手馴れてるのはマカロン、フィナンシェ、ロールケーキ、シフォン、カヌレ、シューくらいかな。さすがにケーキ屋さんに並んでるようなプチガトーは技術がなくて難しいですが、それでもそのうち作りたいと思ってます。
#スウィーツ作りは楽曲作りにリンクするところがある?
G)お菓子に限らず調理全般と曲作りは共通点が少なくないです。どちらもクリエイティブな作業ですからね。でも、お菓子作りに特化して考えたら音楽とは全く別物だと思います。製菓の基本ってレシピなんですよ。レシピを無視して適当に作ってもまず上手くいかない。すごく論理的で偶然性に期待できることがほとんどないんです。その点、音楽は適当にやってても良いものが出来るときは出来るし、偶然に頼る要素ってかなり多いですよね。
#砂糖って中毒性があると思うんですが、ジンジャー君の音も負けじと中毒的だよね。そういう意味での共通点はあるんじゃない?
G)そうですね。そう言ってもらえると嬉しいです。確かに砂糖よろしく僕の音楽の中毒になって欲しいという思いは、タイトルにある”addicted”という単語に込めてますし。ただ、ダビーだったりドラッギーだったり、そういうサイケな感覚ってのは、昔の作品に比べたら随分薄れたことも事実だと思います。中毒性という意味では、そういった表面的ではないもっと別の視点、例えばカットアップやコラージュ特有の違和感だったり、ひねくれてるくせに妙にポップなところとか、もしくはどこかスムーズとは言い切れないグルーヴ感とか、そういったところがクセになるポイントかもしれないですね。
#このアルバムを買ってくれた人にメッセージをお願いします。
G)このCDはフリスビーとしてもお楽しみいただけます。
#最後に好きな色、好きな食べ物、好きな言葉を教えて下さい(笑)
G)好きな色なんて聞いてどうすんのよ。えーと、好きな色はオレンジ色、好きな食べ物はケーキ、好きな言葉は純情愛情過剰に異常。ありがとうございました!
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